
The Special Interest Groups(SIG)とは、各々が定めるS&Cに関するトピックスについて、会員・非会員問わず議論し、広く情報を共有することで資質向上を目指すグループです。また、S&CおよびNSCAジャパンの発展に自ら貢献すること、次世代の人材育成に携わることも目指しています。
今回のミーティングのテーマは「ラケットスポーツのLTAD(注1)」。幼児年代から国家代表レベルまでのカテゴリーについて、我々S&Cに関わる者がどんなことが出来るのか、またその中でどのようなことが起きているのか、参加者を3グループに分けて話し合いました。
注1 LTAD (Long-Term Athletic Development)
2000年代前半にカナダのスポーツ政策改革の一環として構築された枠組みです。
2002年にカナダで「Canadian Sport Policy 2002」が採択され、その中で
LTADをコアにした「Canadian Sport for Life」構想が政府投資を受けて動き出したと、
Sport for Life の公式文書で説明されています。(参考:sportforlife.ca)
国家代表レベルのアスリートには、これまでのS&Cで積み重ねてきた体力があります。そのため、各選手の現在持っている競技特異的な体力の把握から必要と考えられるS&Cを行う必要があります。
ただ、それには特殊性を含む内容が多くあると思われます。よって、技術コーチと協力し、スポーツ医科学的なデータを取得することが必要となります。
また、そのレベルに行くためには、18歳以上で第2次成長期が終わった選手は、競技特性を踏まえながらも高いレベルの筋力を獲得すること、高いレベルのパワーを獲得するためのS&Cをしっかりと積み重ねることが重要です。しかし、その取り組みが日本では足りていないのではないだろうかという意見も出ました。
現在、日本国内の高校レベルにおいては、スケジュール的にしっかりとS&Cを行うことが難しいことが多いです。時間的な制約、施設的な制約、コーチの考えなどがある中で、S&Cができているのは一部のみなのではないかという意見もありました。
中学生レベルでは、この影響はもっと顕著になります。PHV(注2)からすると、このレベルで獲得した方が良いと思われる持久力、スピードに対するアプローチがどれだけ出来ているかについては、誰もわからない状況でした。
注2 PHV
「Peak Height Velocity」の略で、日本語では「年間最大成長速度」などと呼ばれます。
子どもの身長が一年間でどれだけ伸びるかを追ったときに、その伸びが「いちばん大きくなる時期」のことを指します。

時間が足りず途中で終わってしまいましたが、国内には圧倒的に遊び場が少なすぎるという意見がありました。スポーツの基礎となる「遊び」をどこでどのように行っていくか、参加者それぞれの事例を挙げていただきながら、皆で情報共有をしました。
「遊ぶ」とは、その活動が楽しいこと、活動そのものが目的であること、強制ではなく自主的に行われていることを指します。現代の小学生は本当に「遊んで」いるのかという疑問も残る話し合いでした。

LTADは、日本ではスポーツ庁が提示しているFTEMと同じようなものです。カナダのLTADを作った Istvan Balyi氏は、「この仕組みの中で最も大切なのは“Active for Lifeという競技生活が終わって自分の生活を活動的に行う”という部分だ」と述べていたそうです。また、「結果ではなくプロセスに集中せよ」「メダルは社会の健全な副産物」という言葉も残しています。
ヨーロッパのプロサッカー選手は、引退後6〜7割が自己破産しているといった話も耳にします。「私たちの考えるLTADとは?」そんなことを参加者の皆さんが考えてくださったと感じました。