夏が近づくなか、アウトドアでの活動を楽しむ方も多いと思います。ランニングやサイクリング、ゴルフなど、様々なアクティビティがありますが、ハイキングもまた手軽に始めることができるもののひとつかと思います。ハイキングを楽しく、やりがいのあるものにするうえで、事前にトレーニングを実施する場合のプログラムを今回ご紹介いたします。
心臓血管系持久力(有酸素性能力)は、いわゆる持久力、スタミナと一般的に呼ばれる能力ですが、トレーニングによって心臓血管系持久力を高めて疲労を軽減させ、ハイキング中の全体的なパフォーマンスを向上させることができます。
まずは週に2~3回、20~30分の運動から始め、徐々に運動時間、運動強度を上げていきます。運動形態も、トレッドミルやステアクライマーなどのマシーンも使用することができ、最終的にはハイキングを模した荷物を担いでのウォーキングへと切り替えていきましょう。
起伏に富んだ急傾斜のトレイルで、長距離のハイキングを行うような場合、筋力トレーニングが役に立ちます。下り坂を歩行するために、膝関節周囲の筋群を強化し、荷物を担ぐために股関節と体幹部の筋力を増強させることも、非常に大事です。
またバランス能力やアジリティ(敏捷性)の要素を加えることも有効であり、これらのトレーニングは、ハイキング中のケガのリスクを低減させるといわれています。
疲労などを考慮すると、心臓血管系持久力のトレーニングを実施しない日に筋力トレーニングを行うのが望ましいです。
はじめは、一般的なマシーンエクササイズを中心に、8~12回、2~3セット実施します。それから徐々にフリーウェイトエクササイズを組み入れ、またバランス要素を組み込んだり、片側性エクササイズを採用したりすることで、ハイキングの動きを考慮したプログラムへと漸進させていきます。
ご紹介したとおりハイキングは、心臓血管系持久力、筋力、バランス能力、アジリティなど、様々な要素が求められます。これらを総合的にトレーニングすることで、平坦な地面から起伏に富んだ地形や急な上り坂でのウォーキングなどに対応できる体力を身につけ、ケガなく、そして楽しいアウトドアアクティビティの時間を過ごしていただければと思います。
本文には様々なエクササイズの写真も多く紹介されているので、ぜひ参考にしてみてください。
NSCAジャパン2007年翻訳掲載分 p.42~47
NSCA’s Performance Training Journal Vol.5, No.3, 20-27