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  • S&Cカンファレンス2025で「TSAC SIGミーティング」を開催しました! 

    S&Cカンファレンス2025 TSAC-SIGミーティングの様子

    The Special Interest Groups(SIG)は、各々が定めるS&Cに関するトピックスについて、会員・非会員問わず議論し、広く情報を共有することで資質向上を目指すグループです。また、S&CおよびNSCAジャパンの発展に自ら貢献すること、次世代の人材育成に携わることも目指しています。 

    はじめに

    2026年2月、日本体育大学で開催されたS&Cカンファレンス2025にて、TSAC-SIGミーティングを開催しました。本記事では、その当日の様子を座長の酒井崇宏より簡単にご紹介します。

    TSAC-SIGとは 

    TSAC-SIGとは、Tactical Strength and Conditioning Special Interest Groupの略称で、警察官、消防官、自衛官、海上保安官などの公安系職種に対するS&Cに関心を持つ人々が集まり、情報交換や議論を行う場です。 

    国内では本分野に関する体系的な学びの機会が存在せず、S&C専門職からは、「どのように学べばよいのか分からない」という声が多く聞かれます。さらに、現場で様々な公安系職種と交流する中で、S&C専門職の存在が本領域において広く認知されているとは言えない現状に気がつきました。 

    そうした背景から、学びとつながりの機会をつくることを目的に、本SIGを企画しました。 

    Tactical Strength and Conditioningとは? 

    わたしたちの安全な生活を守る公安系職種は、突発的に発生する犯罪や事故、災害、さらには国家的脅威に即応しなければならず、その職務はしばしば高い身体的・精神的要求を伴います。近年では米国を中心に、これらの職種を「タクティカルアスリート」と捉え、スポーツ科学の知見を活用する動きが広がっています。 

    Tactical Strength and Conditioning (TSAC)とは、こうしたタクティカルアスリートに対して適用されるS&C を指します。タクティカルアスリートの職務には次の3つの特徴があり、スポーツアスリートに対するS&Cとは異なる性質を持ちます。 

    1)危険と隣り合わせであること
    2)装備を身につけて活動すること
    3)常に準備された状態が求められること

    さらに、警察や消防といった職種によっても求められる特性が異なります。例えば、逃走する被疑者を追跡し制圧することが想定される警察と、20kg以上の装備を身につけ長時間にわたり火災現場で消火活動をおこなう消防では、異なる能力が求められることがわかるでしょう。 

    このように、スポーツにおける競技特異性と同じく、タクティカルアスリートにも職務特異性(Occupational Specificity)が存在します。 

    SIGでなにが議論されたのか 

    今回のSIGでは3名のゲストスピーカーにご登壇いただき、それぞれの専門領域に関する情報提供の後、参加者を交えて議論をおこないました。

    中澤真弓氏の講演の様子

    まずは、日本体育大学保健医療学部の中澤真弓先生から、消防の現状や業務の特殊性、女性消防官を取り巻く環境、さらに救急医療学科におけるS&C教育など、幅広い情報をご提供いただきました。 

    現場の実情を知ることで、スポーツと消防それぞれに共通する点と、そうでない点がより明確になったと思います。

    次に、早稲田大学大学院の淺沼富美様から、消防のシフト制勤務に対応した暑熱馴化トレーニングの効果に関する研究をご紹介いただきました。 

    暑熱への適応を引き起こすための科学的根拠を、実際の勤務体系に適合させることの重要性と難しさが共有されました。机上の空論ではなく、現場の実態に即した介入が必要であることを強く感じました。

    最後に、日頃からタクティカルアスリートを指導されている実務者の方から、現場の隊員の身体能力や、それを支える体制についてご紹介いただきました。タクティカルアスリートといっても身体能力には大きな幅があることや、支える体制が十分とは言えない現状について議論が深まり、私たちに何ができるのかを考えるきっかけとなりました。 

    SIGの中で私が特に印象深く覚えているのが、なぜ国内でTSACが広まっていないのかという議論です。多くの人が必要性を感じ、すでに現場に導入されていてもおかしくないと思うような取り組みが、なぜ国内ではほとんど見られないのか。この課題に対して、S&C専門職としてどのように向き合うべきなのか。SIGでは現状の共有にとどまりましたが、ぜひこれを機会に、当事者意識を持って考えていただければと思います。 

    おわりに

    SIGの最後には、「守る人が支えられているのか?」という問いを参加者の皆様にお示ししました。タクティカルアスリートは、日本全国あらゆる場所で、24時間365日、片時も途切れることなく私たちの生活を守っています。そしてそのような人々は、スポーツアスリートと同様に高い身体能力が求められながらも、スポーツ現場に実装されているような体系的なスポーツ科学的支援を受けていません。 

    本SIGを通して関心を持っていただいた専門職の皆様が、身近なタクティカルアスリートを支えることは、スポーツを通じて培われてきたS&Cの知見を社会へ広く還元することにつながるはずです。そのためにTSAC-SIGは、本分野に対する関心を生み出し、「なにかしたい」と考える一人ひとりをつなぐ場として、今後も活動を続けていきます。

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