新年度も早2ヵ月。心機一転トレーニングをスタートさせた方は、少しトレーニングにも慣れてきたころかもしれません。身体がトレーニングに慣れてきたころに意識すべきことは、トレーニングプログラムに変化をつけることです。トレーニングはまず続けることに意味がありますが、同じことを同じだけ続けていては、いつしかトレーニング効果は停滞してしまいます。そこで、トレーニングプログラムをある一定期間ごとに「期分け」して、様々な要素に変化を加え、継続的な効果を引き出していくことを目指すわけです。今回は、このトレーニングの「期分け」=ピリオダイゼーションについて、簡単に紹介いたします。
プログラムは、過負荷(つまり、慣れている以上のトレーニングストレスあるいは強度)を組み込んで筋に刺激を与え、身体に変化を要求するものでなければなりません。したがって、プログラムのどの構成要素も、最終目標と関連づけて考慮する必要があります。操作可能なプログラムの構成要素には、セット数とレップ数、最大挙上重量に対する負荷の割合(% 1 RM)、セット間の休息時間、利用するエクササイズなどがあります。
トレーニング年齢とは、そのクライアントがトレーニングを行なってきた時間の量であり、月数または年数によって測定されます。クライアントは初級者、中級者、上級者に分類され、一般にクライアントのトレーニング年齢が上がるにつれて、トレーニングの全体量の増加に対処する能力もアップします。
トレーニング初級者:トレーニングの経験が 6 ヵ月以下
トレーニング中級者: 〃 6 ~ 12 ヵ月
トレーニング上級者: 〃 最低1年以上
初級クライアントのストレングストレーニングは、週に 2 ~ 3 回のセッションから始めます。伝統的なピリオダイゼーションは負荷を日々変化させて、時間とともに多量低負荷から低量高負荷へと移行するものです。適切なテクニックを習得させるためにも、開始段階では負荷の範囲をやや下げ、その後プログラムの進行とともに負荷を増やしていきます。
1ヵ月間くらいの間隔ごとに、付加的な目標を設けるのがよいです。最初の1ヵ月は筋の持久力、次に筋力向上、そしてパワーの向上のように、目標を変えていきます。これに伴い、セット数やレップ数、負荷を変化させていきます。エクササイズテクニックも初級者より向上していると考えられるため、さまざまなエクササイズも導入していきます。
ピリオダイゼーションは今でも多くの研究がされており、トレーニングコーチやパーソナルトレーナーも日々試行錯誤している分野です。より詳しい理論の概要に興味をもちましたらこちらも参考にしてみてください(ピリオダイゼーションの科学と実践:簡潔なレビュー)。例えばスポーツごとのトレーニングのピリオダイゼーションなども、今後紹介していければと思いますが、トレーニングは同じことを同じだけ続けていても効率的ではない、まずはこの考え方を心に留めて、無理のない範囲で、ご自身のトレーニングプログラムに新たな変化を加えてみることを意識していただければと思います。
NSCAジャパン機関誌 2013年3月号p.45-48
『パーソナルトレーニング基礎講座:プログラム変数とデザイン』
NSCAジャパン機関誌 2011年7月号p.18-29
『ピリオダイゼーションの科学と実践:簡潔なレビュー』