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  • 筋傷害からの回復に有効な栄養素とは?

    スポーツ栄養についてノートに書き出している人

    スポーツ選手は、競技中の急激な動作や、転倒、打撲等によって筋傷害を発症することがありますが、本稿では筋傷害からの回復に有効な栄養素についてご紹介いたします。

    筋傷害からの回復に有効な栄養素

    Nutrients For Recovery From Muscle Injury Debra Wein, MS, RD, LDN, CSSD, NSCA-CPT*D 
    Stacie Sieloff 

    筋傷害は多くのアスリートにみられますが、その主な原因に、多くの責務と強度の高さが挙げられます。筋傷害の発生率はスポーツ関連傷害全体の10%~55%であり(3)、傷害の程度によって異なりますが、通常のトレーニングや試合に復帰できるようになるまで約3ヵ月を要します。

    そのため、アスリートは回復時間を可能な限り短縮し、筋組織の瘢痕化を防ぐために、食事に含まれる主要栄養素に注意しなければなりません。

    慢性的な腱障害を持つアマチュアアスリートを対象に調査を実施したところ、以下(表1参照)のサプリメントを投与した治療群は、対照群に比べて顕著な痛み軽減率を示しました(99% vs. 31%)。

    また、スポーツでの活動は治療群で42%増加し、対照群を上回りました(5)。

    図1 回復に効果的な主な栄養素

    では、筋傷害からの回復に有効な栄養素を、表1を参考にみていきましょう。 

    各種成分の詳細

    エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびγ-リノレン酸

    エイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)、γ-リノレン酸(GLA)の3つの栄養素は、炎症を和らげ、抗炎症剤としての効果が期待できる栄養素です。しかし、我々の普段の食事ではEPAやDHA、GLAの摂取が不足しがちです。

    オメガ3脂肪酸の摂取量が増えると、体内でつくられるサイトカインと呼ばれる炎症誘発性化合物は減少します(2)。これらの抗炎症性作用の効果に関していえば、多量のDHAも炎症を緩和することが判明しています(6)。

    そのため、週に3回、脂の乗った魚を3オンス(約85 g)食べ、飽和脂肪ではなく、植物性の油を摂取するように心がけましょう。

    スポーツ栄養についてノートに書き出している人

    セレン

    セレンは、様々な酵素の機能にとって重要です。セレンは酸化ストレスの防御に不可欠な栄養素であり、適量のセレンがあれば最適な効率で機能します(7)。

    セレンを含む栄養源として、マグロ、タラ、七面鳥、卵、ニンニクのほか、オートミールやパンなどが挙げられます。セレンのRDA(recommended  daily  allowance:一日当たりの推奨量)は男女とも55μgです。

    亜鉛

    亜鉛は、創傷や炎症の治癒正常な免疫反応に不可欠な栄養素です。

    亜鉛を豊富に含む食品として、ヨーグルト、豆類(レンズ豆、エンドウ豆など)、ミルク、ホウレンソウ、シーフードなどが挙げられます。亜鉛のRDAは、男性が 11 mg、女性が 8 mgです。

    ビタミンA

    筋傷害を適切に治療するには、ビタミンAを含む食事が不可欠です。ビタミンAの働きとして、細胞の成長、発達、骨の修復、免疫機能などが挙げられます。

    ビタミンAの豊富な栄養源として、サツマイモ、ニンジン、マンゴー、ホウレンソウ、赤ピーマンなどが挙げられる。ビタミンAのRDAは、RAE(retinol activity equivalents:レチノール活性当量)で男性が 900μg、女性が700μg です。 

    ビタミンB6

    タンパク質と赤血球はいずれも筋の回復にとって重要ですが、ビタミンB6はこれらの正常な代謝に不可欠です。

    強化食品やヒヨコ豆、ジャガイモ(皮付き)、シーフード、アボカドに多く含まれています。ビタミンB6のRDAは、男女とも1日あたり1.3 mgです。

    ビタミンC

    ビタミンCは、筋力と柔軟性に必要なコラーゲンの形成で重要な役割を果たすほか、腱や靱帯の修復、骨の強化を助ける働きもあります。

    柑橘系の果物やキャベツ、トマト、ブロッコリー、イチゴなどの食物に含まれていて、ビタミンCのRDAは、男性が 90 mg、女性が75 mgです。

    ビタミンE

    動物試験の結果、ビタミンE(α-トコフェロール)には、運動によって生じる酸化ストレスと炎症性ダメージを軽減する働きがあることが示唆されています。ビタミンEの豊富な飼料を3週間摂取したラットが、トレッドミルで60分間走り続けたという報告があります。

    また、酸化ストレスと炎症性ストレスのマーカーを測定した結果、ビタミンEの豊富な飼料を摂取した治療群は、非治療群に比べてこれらのマーカー値が有意に低かったことが判明しています(1)。

    ビタミンEの豊富な栄養源としては、小麦胚芽やヒマワリ油、ピーナッツ、アーモンド、ホウレンソウ、ブロッコリーなどが挙げられます。ビタミンEのRDAは、RRR-α-トコフェロール当量で1日当たり15 mgとなっています。

    タンパク質

    筋の修復中、エネルギーとタンパク質の必要量が増加し代謝が変化します。最も軽症の筋傷害である筋肉痛の場合、タンパク質とエネルギーの必要量は傷害発生後およそ48時間にわたって増加します。さらに、脂肪の酸化が増加し、インスリン感受性が低下します(4)。

    タンパク質のRDAは、アスリートや傷害から回復中の人の場合、体重1kg当たり1.2 ~1.8 gです。

    オリジナルの文献はこちら

    まとめ 

    適切な栄養管理は、筋傷害の回復にとって重要な要素です。長期的にみた場合、抗炎症性の食品は、回復力を高めるだけでなく、傷害の再発予防に役立つといえるでしょう。

    筋傷害の回復のために、十分な栄養摂取を心がけましょう。 

    参考文献

    1. Aoi W, Naito Y, Takanami Y, Kawai Y, Sakuma K, Ichikawa H, Yoshida N, Yoshikawa 
    T. Oxidative stress and delayed-onset muscle damage after exercise. Free Radical Biology and Medicine , 37(4):480 – 487. 2004. 
    2. Calder PC. Dietary modification of inflammation with lipids. Proceedings of the 
    Nutrition Society, 61:345 – 358. 2002. 
    3. Jarvinen TA, Jarvinen TL, Kaariainen M, Kalimo H, Jarvinen M. Muscle injuries: biology and treatment. Am J Sports Med, 33:745. 2005. 
    4. Lowery L, Forsythe CE. Protein and overtraining: potential applications for freeliving athletes. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 3(1):42 – 50. 2006. 
    5. Mavrogenis S, Johannessen E, Jensen P, Sindberg C. The effect of essential fatty acids and antioxidants combined with physiotherapy treatment in recreational athletes with chronic tendon disorders—A randomized, double-blind, placebo-controlled study. Physical Therapy in Sport, 5(4);194 – 199. 2004. 
    6. Tate G, Mandell BF, Laposata M, Ohliger D, Baker DG, Schumacher HR, Zurier RB. 
    Suppression of acute and chronic inflammation by dietary gamma-linolenic acid. J Rheumatol , 16(6):729 – 34. 1989. 
    7. Venardos K, Harrison G, Headrick J, Perkins A. Effects of dietary selenium on glutathione peroxidase and thioredoxin reductase activity and recovery from cardiac ischemiareperfusoin. Journal of Trace Elements in Medicine and biology, 18(1):81 – 88. 2004. 

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