筋肥大を促すトレーニングには、様々な方法があります。本日はその方法のひとつ、「ジャーマンボリュームトレーニング」について紹介します。
ジャーマンボリュームトレーニング(GVT)は、アスリートが除脂肪体重と筋量を増やす上で効果的なトレーニング法として、コーチング関連および一般のメディアで紹介されてきました。このGVTは、トレーニングの全般的な準備段階で除脂肪体重を増やしたいと願う選手を支援する目的で、ドイツのウエイトリフティングコーチである Rolf Fesser 氏が開発したと言われています。
具体的な方法については、一般的に筋肥大で推奨されるセット数に比べ多くなります。約60% 1RMまたは20RMの抵抗で10レップ×10セットを行ない、この強度で多量・高負荷を達成することがこのGVTの戦略的な目標となります。
ただ実際の筋肥大や筋力向上にとって、GVTワークアウトが効果的かどうかを調べる研究はあまり実施されていません。その中で今回は、米国本部の論文誌に掲載された以下の研究についてご紹介します。
修正ジャーマンボリュームトレーニングプログラムによる筋肥大と筋力への効果
修正 GVT が筋肥大および筋力に及ぼす効果を調査すること。
19人の健康な男性が、週 3 回特定のレジスタンスエクササイズを6週間、10回×10セット(修正GVT群)または10 回×5セット(5セット群)を行うようにランダムに割り当てられました。使用された相対負荷は60%から80% 1RMの範囲 (各エクササイズと進行に応じて異なる) で、セット間の休憩時間は 60秒~90 秒でした。
群間において、除脂肪体重の測定値に有意な増加が認められました。ただし、体幹部(p= 0.043;効果サイズ[ES]=−0.21)と腕部(p=0.083;ES =−0.25)の除脂肪体重の増加は、5セット群でより大きくなりました。脚部の除脂肪体重や筋厚の測定値については、群間で有意な増加は認められませんでした。筋力については、群間で有意な増加が認められ、ベンチプレス(p = 0.014;ES = −0.43)とラットプルダウン(p= 0.003;ES =−0.54)では5セット群でより大きな増加が観察されました。
以上の結果から、修正GVTプログラムは、筋肥大と筋力の増加に対して、エクササイズごとに5セットを実施する方法と同等の効果しかないようです。この実験から、筋肥大トレーニング効果を最大化するには、この実験プロトコル(強度、休憩、回数)に基づく場合、4~6セットを実行することが推奨されます。このセットを超えると筋力増加が停滞する可能性があります。
今回はジャーマンボリュームトレーニング(GVT)についてご紹介しました。今回扱った研究からは、筋肥大トレーニング効果を最大化するには、4~6セットが推奨されており、GVTの10レップ×10セットはオーバートレーニングに繋がる可能性が言及されています。
NSCAジャパン2013年翻訳掲載分 Vol.20 No.4 p.64~67
原文 NSCA’s Performance Training Journal:Volume 8, Number 1, pages 10-13.
「ジャーマンボリュームトレーニング:筋成長を促すもうひとつの高負荷トレーニング法」
NSCA本部ウェブサイト German Volume Training