今回取り上げるウインタースポーツはダウンヒルスキーです。ちなみに今回は、競技レベルのアスリートを対象としたものではなく、レクリエーションとしてスキーを楽しむ愛好家向けにトレーニングプログラムやエクササイズを紹介している記事を取り上げます。
ダウンヒルスキーにおいて主に用いられる筋は、ニュートラルポジションでは大腿四頭筋、前脛骨筋、腓腹筋、腓骨筋などです。また腹直筋や殿筋群は直立姿勢を保つために重要だとされています。大腿四頭筋は、動作全体を通してバランスを維持するために用いられ、またターン時には股関節を伸展させるために用いられます。腹直筋はターン時に最も活動することが示されており、ハムストリングスと殿筋群は、ターン時や次のターンの準備をする段階で用いられるとされています。
ダウンヒルスキーでのケガは主に肩関節、膝関節に起こるとされています。肩関節のケガは全身のケガの4~11%を占め、ローテ―タカフの挫傷、肩甲上腕関節前方脱臼、肩鎖関節損傷、鎖骨骨折などが含まれ、これらの多くは、転倒や衝突時に腕が伸びた状態で地面や対象物に接触することによります。膝関節では捻挫が多く、スキーヤーがターンをして外側の脚が地面を離れると同時に、伸展された外脚が身体を交差してターンをしてしまう“スリップキャッチ”や、膝関節および股関節がとても深く屈曲しているときに身体の下でスキー板を素早くターンすることで急速な内旋が生じる“スノープロウ”という方法での滑走中に起こるとされています。
ダウンヒルスキーのトレーニングプログラムは、スピードをコントロールするエクササイズ、そして素早く爆発的な動作を含むエクササイズによって、スキーの動作を模倣することが推奨されています。スクワット、レッグプレス、ベンチプレスやダンベルロウといった基本的なエクササイズのほかに、様々な方向へのジャンプエクササイズによりパワー向上を目指したり、不安定な表面や片脚で行なうエクササイズによって神経学的適応に負荷をかけるエクササイズを実施したりするべきとされています。
ボックスの横に立ち、爆発的にジャンプします。両足を前に向けて膝を軽く曲げてボックス上に着地。着地の際に足で音をなるべく出さないように“柔らかく”着地し、動作を通して膝が足の真上に位置するように意識することが重要です。
ハードルで囲まれた四角の中心から始め、各ハードルの外側からジャンプし、毎回中心に戻ります。この動作をできるだけ素早く繰り返すために、減速をコントロールし、再荷重からの爆発的なジャンプを意識することが重要です。
ご存じのとおり、競技やスポーツに則したトレーニング・エクササイズは、アスリートのためだけでなく、そのスポーツをより楽しみたいと考える愛好家の方々にとっても、パフォーマンス向上やケガの予防のために用いることができます。記事には様々なエクササイズが紹介されているので、用いる意味を踏まえたうえで、参考にしてみてはいかがでしょうか。