アスリートに対するトレーニングメニューを作成する、ピリオダイゼーションを構築していくうえで、トレーニングとはフリーウェイトやマシーンエクササイズに代表されるレジスタンストレーニングだけではなく、そのほかにもいくつかのトレーニングを組み込んで、総合的なメニューとしていくのが一般的です。
そのような他のトレーニングについて、今回は主にジャンプエクササイズを用いるプライオメトリックスを実施するために押さえておくべきポイントをご紹介いたします。
ジャンプする際には、しゃがんだ状態からジャンプするよりも、立った姿勢から反動動作を用いてジャンプしたほうが高く跳ぶことができると思います。この反動動作を、専門的にはストレッチ-ショートニングサイクル(SSC)と呼びます。そしてこのSSCを強調したトレーニング様式をプライオメトリックス、プライオメトリックトレーニングなどと呼んでいます。
ジャンプは跳ぶだけでなく、それと同じ数の着地動作を伴います。そしてこの着地動作では、誤った方法によるケガのリスクを伴うことから、プライオメトリックス実施にあたっては、なによりもまず適切な着地動作・姿勢を身につける必要があります。
具体的には、膝をつま先の真上に位置させ、上体をやや前傾させ、顔を正面に向けて背中を真っ直ぐ伸ばした姿勢をとれるよう、着地動作を行ないます。いくら最終的な姿勢がよくても、着地動作中に背中が丸まったり、膝が過度に前に出たりするような動きをしては、やはり余計なストレスがかかるため、股関節を中心に身体を適切にコントロールして着地動作を実施することが重要です。
プライオメトリックスを安全かつ効果的に実施するためには、十分な筋力が備わっている必要があります。ただし、十分な筋力がない場合でも、着地のテクニックさえ習得していれば、強度の低いエクササイズを実施することは可能です。成長過程にあるジュニアアスリートに対しても、まずは適切なテクニックを学ばせることを目的に、簡単なジャンプエクササイズから導入していくべきでしょう。
レジスタンストレーニング同様、プライオメトリックスにおいてもプログラムを組み立てる際には、用いるエクササイズ、トレーニング頻度、トレーニング量、セット間の休息時間など、様々な変数を操作する必要があります。トレーニング量については、ジャンプした際の着地(接地)回数で計算していきます。またセット間の休息時間は、比較的長く取る必要があります。パワーを向上させるためのエクササイズでは、一回一回のジャンプを全力で実施することが重要であり、そのためには十分な休息を取って、フレッシュな状態で次のセットに臨みます。
今回はプライオメトリックスについて、簡単に紹介しました。記事ではその他のプログラム変数や注意事項なども掲載されています。またNSCAジャパンの機関誌では、プライオメトリックスに関する数多くの記事を扱っています。これを機に他の記事もご覧いただければと思いますし、また別の機会にご紹介もしたいと思います。
NSCAジャパン2010年翻訳掲載分 Vol.17 No.6 p.56~59
NSCA’s Performance Training Journal Vol.6, No.5, 19-22
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