以前の記事でピリオダイゼーション、ピーキングについてご紹介しました。実際のトレーニングにおいては、一定期間ごとにプログラム(メニュー)を期分けし、目標に合わせて数週間前からピーキングを行うわけですが、実施プログラムは千差万別。競技や対象者のレベル、年齢等により異なります。
今後は様々な競技を想定したトレーニングプログラム例を紹介していきたいと思いますが、今回はトレーニングプログラムを作成する際(プログラムデザイン)の前提となる原則と、操作すべき変数に関する記事を紹介いたします。
プログラムデザインにおいて、操作するべき変数は以下のものがありますが、ここではいくつかの変数について、簡単に説明いたします
・エクササイズ種目の選択
・頻度
・順序(エクササイズの配列)
・負荷(重量/強度)
・レップ数
・セット数
・休息時間
・トレーニングのバリエーション
・長期間の漸進性
プログラムデザインでは、まずどんなエクササイズを行っていくか考える必要があります。このとき主に考慮すべきは、特異性の原則。これは、身体は与えられたストレスに対応して適応するため、ある特定の結果を出すために特定のトレーニングをするという考え方です。
たとえば、胸の筋肉を鍛えるにはベンチプレス、脚の筋肉を鍛えるにはスクワットを行うべきであり、それぞれの目的に対しベンチプレスとスクワットを入れ替えた場合には望ましい効果は得られません。特異性には、上記のような対象となる筋群のほかに、動作方向、速度など様々な特異性があります。そして、競技のニーズ、トレーニング経験、トレーニングで使える時間、機材などを踏まえ、様々な特異性を考慮して、実際にどのエクササイズを用いるか決定していきます。
これらはトレーニングの目的によって操作すべきです。ある筋が継続して力発揮し続けられるような筋の持久力をトレーニングしたいのか、筋肉を大きくするような(筋肥大)トレーニングをしたいのか、あるいは大きな力を発揮する能力をトレーニングしたいのか等、それぞれの目的のよって、扱うべきトレーニングの強度(負荷)、回数(レップ数)、そして複数セットエクササイズを行う際のセット間の休息時間などが異なります。
記事では、その他の変数の説明に加え、プログラムデザインにおいて、まず念頭におくべき3つのトレーニングの原則、「特異性」「過負荷」「漸進性」のそれぞれの原則についても紹介されています。こちらもぜひ参考にしてみてください。
プログラムデザインにおいては、様々な変数を考えていかなければなりません。それは大変な作業ですが、ただ惰性で同じトレーニングを続けるよりも、効率よく、またケガなく身体を鍛えていくためには必要なプロセスです。S&Cコーチやパーソナルトレーナーの方はさておき、一般の方がプログラムデザインに取り組むのは二の足を踏むかもしれませんが、たとえば一定期間ごとに実施するエクササイズ種目を見直す、あるいはトレーニングに慣れてきたら、扱う重量を増やしてみるなど、まずは変数を絞って考えていただくところから始めてみてはいかがでしょうか。
NSCAジャパン2006年掲載分 Vol.13 No.6 p.48~52
パーソナルトレーナーのための基本的なウェイトトレーニングの原則とプログラムデザインについてのガイドライン