
テニスでは、一連の反復的動作によってかかるストレスあるいは負荷により、上肢や下肢だけでなく体幹においてもテニスに特異的なケガが発生することがあります。テニスに特異的なストレングス&コンディショニングプログラムを実施することは、こういったケガの予防に重要な役割を担っているといえます。
テニスのケガはあらゆる身体部位で報告されていますが、特に多く発生しているのは、肩、肘、および膝とされています。割合としては、最も多く傷害が発生する部位は下肢であり(39~65%)、次に上肢(24~46%)、さらに頭部/体幹(8~22%)の順であることが研究で報告されています。
また具体的な部位として、下半身においては、下腿、足関節、および大腿(上腿)であり、足関節の捻挫と大腿筋群(ハムストリングス、大腿四頭筋、および内転筋)の挫傷が最も多く発生しています。上半身のケガは、肘と肩で最も多くみられ、肩の腱の損傷とテニス肘(上腕骨上顆炎)が最も頻繁に起こるとされています。
エリートレベルのテニス選手における肘のケガは、主として、反復的なオーバーユースが関与したケガであり、上腕骨上顆の内側と外側に停止する腱構造に集中しています。一部の研究では、肘のケガの発生率はきわめて高く、エリートレベル、レクリエーションレベルの選手の37~57%に及ぶといわれています。
またこれらの研究からは、レクリエーションレベルの選手では、バックハンドのグラウンドストロークの過剰な負荷による上腕骨外側上顆炎の比率が高いことに対し、エリートレベルの選手では、サーブやフォアハンドストロークの過剰な負荷から、肘の内側の発生率がより高いことが明らかになっています。
肘のケガ予防のために推奨されるエクササイズは、手首と前腕の筋組織の筋力、特に筋持久力の向上に重点をおきます。手首については、屈曲・伸展のエクササイズだけでなく、撓屈・尺屈動作も入れるとよいでしょう。また手首や前腕に対し追加的な過負荷を与えるために、ボールドリブルやプライオメトリック・リストスナップといったエクササイズも有効とされています。


ただし、注意する点として、テニスの適切なストロークのパワーは、手首や前腕から発揮されるわけではないということがあります。これらに過剰な負荷がかかることで肘をケガする要因としては、キネティックチェーンの他の部分からの貢献が不十分であり、ストロークの総合的なバイオメカニクスと全身の体力が劣っているために、パワーを発揮する際、前腕の筋組織に依存せざるをえないことが挙げられます。
記事では、そのほかにも肩、腰、股関節について、具体的なケガの要因や推奨される予防エクササイズが紹介されています。ぜひチェックしてみてください。
各部位に特異的な予防エクササイズを行うことに加えて、余計な負荷を身体にかけない適切な動作・筋力を身につけることで、ケガを未然に防ぐ取り組みが重要といえるでしょう。
NSCAジャパン2012年翻訳掲載分 Vol.19 No.1 p.34~42
原文 Strength & Conditioning Journal Vol.31, No.4, 50-58