• スポーツ・健康
  • 強い女子バレー選手はここが違う!筋力・ジャンプ・身体特性を徹底比較

    強いスポーツ選手とそうでない選手、両者を分ける要因はどこにあるのでしょうか?
    今回は、女子バレーボール選手の身長や体重、筋力、ジャンプ能力を比較した研究をご紹介します。

    1. 身体特性(身長・体重)

    レビューに含まれた研究を確認すると、身長・体重は競技レベルが高くなると、上昇する傾向があり、欧州トップリーグでは187±5.4 cm/74.6±8.1 kgというデータがあります。

    また、あるヨーロッパリーグの1部リーグと2部リーグの比較では、ウイングスパイカー、ミドル、ブロッカー、セッターは1部の方が2部に比べ顕著に高身長でした(表)。ポジション別では、ミドル/オポジットの身長が高く、リベロは低めという特徴が明瞭です。 

    1部リーグと2部リーグの身長の比較(cm) 

    2.筋力

    筋力は競技パフォーマンスに不可欠な要素です。ある研究では、20 °/秒での等速性ベンチプレスとレッグプレスの値を報告しており、筋力測定値をトーナメントの最上位チームと最下位チームとで比較しました。ベンチプレスとレッグプレスの値は、最上位チームでは、それぞれ 46.45± 11.04と 155.42 ± 27.39 kgであったのに対し、最下位チームでは、37.57 ± 9.53 と 137.91 ± 28.96 kgでした。

    肩や肘の等速性筋力を比較した研究では、バレーボール選手は非活動女性より高いピークトルクを示し、特に270°/秒での肘伸展トルクがスパイク速度と有意に相関することが分かっています。これは、スパイクに高速での大きな力発揮が不可欠であることを裏づけています。

    また、レジスタンストレーニングの介入研究では、オフシーズンに週4回の筋力トレーニングと週2回のプライオメトリックスを組み合わせることで、ベンチプレス1RMが42.7→46.8 kgに向上しました。興味深いことに、 シーズンの経過に伴い、1RMの値と除脂肪体重で除した1RM値の相関関係は低下することが明らかとなりました。これは、少なくとも部分的には、筋力の増大が筋量の純粋な増加よりもむしろ神経系のメカニズムによるものであることを示唆している可能性があると、著者は述べています。

    加えて、インシーズンの12週間プログラム(週に250分)でも、ベンチプレス4RMが40→47 kg、パラレルスクワット4RMが92→104 kgと有意に増加しています。一方で、試合期を通じて最大筋力が低下するケースもあり、競技練習や持久的負荷が筋力発揮を妨げる可能性が指摘されています。 

    3. ジャンプ 


    垂直跳び(VJ)は、ブロックやスパイクなど試合での決定的に重要な動作と直結しています。研究によれば、女子ナショナルチームの選手は大学代表よりも約15%高いジャンプ高を示し(52.4 cm vs. 45.5 cm)、パンアメリカン代表と非代表選手、NCAAディビジョンⅠとⅢの選手の間でも同様の差が観察されています。VJの高さは全米トーナメントの成績とも相関しており、一定以上の到達点が大きなアドバンテージとなることが示唆されています。ただし、必ずしも勝敗を決定づける要因ではなく、スパイク速度との相関も認められてはいません。

    シーズンを通じてVJを維持・向上させるには、トレーニング内容が大きく影響します。ある研究では、7週間の高強度レジスタンストレーニング後にVJがむしろ低下しましたが、その後4週間の爆発的トレーニングを加えると数値が回復しました。ポルトガルのエリート選手を対象とした研究では、12週間の爆発的レジスタンストレーニングによってCMJが有意に改善し、10〜30 kgの負荷をかけたジャンプでも向上が確認されています。

    一方で、シーズン中の過度な練習負荷はVJを低下させるリスクがあります。NCAA女子選手の調査では、練習セッション数が多かったシーズンではスパイクジャンプやブロックジャンプが低下し、セッション数を抑えたシーズンでは大きな変化は認められませんでした。つまり、ジャンプ数なども含めた疲労管理もジャンプ力維持の鍵となります。 

    まとめ

    女子バレーにおける身体特性・筋力・ジャンプ力を比べた研究から見えてきたポイントをまとめます。

    ・強豪チームの選手は、身長・体格が大きい傾向がある
    ・筋力はスパイク速度や競技力に直結する重要な要素
    ・ジャンプ力は勝敗に直結するわけではないが、大きなアドバンテージ
    ・トレーニングの仕方や疲労管理次第で、筋力やジャンプ力は向上も低下もする

    女子バレーボールの「強さ」は単なる体格差ではなく、筋力や跳躍力をいかに高め、そしてシーズンを通して維持できるかにかかっています。強豪チームほど、この力を磨き続ける工夫と準備を重ねているのです。

    今回は、女子バレーボール選手の身体特性、筋力とジャンプ能力についてご紹介しました。次回はほかの体力要素についてご紹介したいと思います。 

    参考文献

    NSCAジャパン2012年翻訳掲載分Vol 19, No9, 54-64

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