横浜市立横浜商業高校には、国内の公立高校で唯一の専任S&Cコーチが在籍し、授業や部活動を通して、生徒の体力向上や傷害予防、身体に関わるリテラシーの向上とアスリート自身の自立を目指した“インテリジェントアスリートの育成”に取り組んでいます。
NSCAジャパンは横浜市教育委員会と提携し、2014年より横浜商業高校スポーツマネジメント科(YSM)のサポートを実施し、S&Cに関わる特別講義の実施やトレーニングルーム運営・計画の支援をしています。
YSMは、2014年に設立され、スポーツや健康に関する学習や実践的な活動を通して、科学的な知識・理解を深めるとともに、スポーツとそのマネジメントにかかわる能力をはぐくむことを目的としています。カリキュラムの中で、生徒はスポーツビジネス・マネジメントを中心に学び、また「スポーツ科学」科目を通して、S&Cやスポーツ医学に関わる授業を展開しています。「スポーツ科学」の授業では、保健体育科教員に加え、日本で唯一の公立高校の専任S&Cコーチである山口裕士さん(CSCS)、アシスタントS&Cコーチの川邊雅希さん(CSCS)、アシスタントS&Cコーチ兼特別非常勤講師の並木沢さん(CSCS)がサポートし、トレーニングの理論と実践を行っています。加えて、放課後にはS&Cの実施を希望する10部活に対して、指導を行っています。
NSCAジャパンは、このトレーニングルーム運営・計画のサポートや、生徒の体力測定、業界のトップランナーの方々を招聘し、YSMの生徒を対象に特別講演会の実施などをしています。
ここで3名のS&Cコーチをご紹介します。ヘッドS&Cコーチの山口さんは、奈良教育大学硬式野球部の学生監督を経験され、同時にS&C指導者としての研鑽を積み、2022年に就任しました。現役の大学院生として、実践に加えて研究活動も行っています。S&Cカンファレンス2024では金澤良先生(岩倉高校)とともに、高校生へのS&C普及についてご講演いただきました。主に、硬式野球部、軟式野球部、バレーボール部、卓球部、女子硬式テニス部等担当しています。
アシスタントS&Cコーチの川邊さんは、YSM卒業生で高校時代からS&Cを実践し、その後大学でS&C指導者の学びを進め、現在に至ります。OBがS&Cコーチとして帰ってくることは素晴らしいことですね!主な担当部活は、硬式野球部、女子ソフトテニス部、男子硬式テニス部です。3月末で山口さんが退任されるため、4月からはヘッドS&Cコーチに就任します。
アシスタントS&Cコーチ兼特別非常勤講師の並木さんは、パーソナルトレーナーやラグビーなどでのS&C指導経験を活かし、YSMでは特別非常勤講師として、「スポーツ科学」における運動科学、トレーニング実技を担当しています。特にウエイトリフティングやフリーウェイトのコーチングを得意としており、主に、硬式野球部、ボート部、陸上部、バスケットボール部等を担当しています。
加えて、週2回、横浜市スポーツ医科学センターより派遣された2名の理学療法士(岡崎美琴さん、田中大夢さん)が来校し、傷害からの復帰を目指す生徒のリハビリテーション指導、S&Cコーチと連携した傷害予防トレーニングを実施しています。
この取り組みの詳細については、NSCAジャパン機関誌3月号において山口さんらに執筆いただいた
「高校におけるストレングス&コンディショニングを通じたインテリジェントアスリートの育成」 をご覧ください。
高校では、先月から今月にかけてトレーニングルーム床面の改修を行いました。以前からトレーニングルーム後方のスペースにゴムマットが敷かれていましたが、いくつかの種類のマットを継ぎ接ぎしていたため、一部がまばらになっていました。そのため、この度、S&Cコーチの方々の働きがけで同じ素材のゴムマットを敷き、より安全で効果的な環境を整備することとなりました。
また、同校美術科および生徒の協力により、壁面にペイントも描かれました。とても気持ちが高揚する素敵なペイントですね!
NSCAジャパンとしても、横浜市教育委員会、横浜商業高校と連携し、今後も高校生を中心とした育成年代へのS&Cの普及を目指していきたいと思います。