
試合後の回復をいかに効率的に実施するかは、アスリートや運動愛好家の方々にとって非常に重要なことです。今回紹介する記事では、エリートレベルのサッカー選手において、回復方法がもたらす効果、あるいは悪影響に基づき、それぞれの方法での回復との関連性の高さを示し、実施にあたってのガイドラインを提示しています。
記事内では、サッカーの試合後における回復過程の関連性によって、試合後の回復方法を5つのレベルに分けたモデルを提示しています。これは、科学的文献に基づき、試合後の回復の効果、利用頻度、パフォーマンスに発生することが報告されている悪影響などを加味して作られています。

睡眠と栄養の回復方法は、特に長期的に利益があることが示されています。サッカーの試合後における回復にも最も多く利用され、最も重要であると考えられています。また、パフォーマンスへの急性あるいは慢性の悪影響は報告されていません。
なお、栄養については、疲労を緩和して回復過程を加速するには、試合後72時間以内に栄養方策を用いて、水分の再補給、エネルギー貯蔵(筋と肝臓の貯蔵)の補給、組織(骨格筋)の修復、炎症反応の抑制という4つの目標を達成することが提案されています。

冷水浴は、主観的変数の回復には明らかな効果が見出されていますが、身体的および生理学的回復への効果には疑問があります。その一方で、最も多く利用する回復方法のひとつであることも報告されています。
ただし、筋のタンパク質合成と適応に悪影響を及ぼす可能性のあることが知られているため、この点でレベルが一段下がっています。
マッサージとコンプレッションウェアは、主観的変数には利益があるとされており、悪影響も報告されていません。ただし、頻度は中程度(ときどき実施)とされています。
心理社会的利益(交流と意欲の向上)を期待して、エリートレベルのサッカーの試合後に高頻度で利用されています。ただ、回復効果に関するエビデンスは少ないです。
これらは、悪影響は報告されていない一方で、回復において限定的な利益しか示されていません。ただ、選手のウェルビーイング(心身ともに満たされた良い状態)に即時的な効果をもたらす可能性があるため、試合後に中頻度で利用されているようです。
これらの回復方法はサッカーだけに限らず、その他多くの競技、あるいは日常生活にも通じる部分があるのではないでしょうか。
ただ一方で、この記事はあくまでもサッカーを対象としたエビデンスに基づくものであるため、他の競技での応用には注意が必要であることも付け加えられています。各レベルの回復方法の詳細についてはぜひ記事をご確認ください。
NSCAジャパン2025年翻訳掲載分 Vol.32 No.8 p.44~55
原文 Strength & Conditioning Journal Vol.46, No.4, 415-425