近年、様々なタイプのエナジードリンクが販売され、人気となっています。特にエナジードリンクの中で注目されるのが、カフェインではないでしょうか。今回は、カフェインの効果と注意点について紹介したいと思います。
カフェインは、覚醒、覚醒度、集中力などを向上させる効果があります。疲労対策という点では、カフェインはアデノシンに対する拮抗薬として作用されます。アデノシンが受容体に結合すると、神経伝達物質が神経活動を鈍化させ、眠気を引き起こします。しかし、カフェインがアデノシンの代わりに受容体に結合すると、神経活動が活発化し、覚醒度が向上します。
またカフェインは、運動パフォーマンスを改善することでも知られています。Kalmar&Cafarelliは、6 mg/体重1kgの用量で、等尺性のレッグエクステンションによる発揮筋力と最大下条件で疲労困憊に達するまでの時間が有意に向上したことを示しました。様々な示唆がありますが、一貫して、上記のレッグエクステンションの疲労困憊のように持久系パフォーマンスを改善させることが明らかになっています。
カフェインを初めて摂取するアスリートに対しては、1日あたり2 mg/体重1kg(70 kgのアスリートには140 mg)の用量から始めるとよいとされており、睡眠の質の低下を防ぐためには、就寝前3~10 時間以内のカフェイン摂取は避けるべきであるとも言われています。
またカフェイン摂取に副作用なく慣れ親しんだら、摂取量を増やすことができ、パフォーマンスの向上に推奨される標準的なカフェインの上限量について、全米大学体育協会(NCAA)の規則では、尿1 ml当たり 15 mgまたは約500 mgのカフェインを競技2~3 時間前に摂取することが、安全にパフォーマンスの向上を促すために守るべき適切な制限であるとしています。また、アメリカ食品医薬品局(FDA)は 1 日 400 mgを超えないことを推奨しており、これは 8 オンスカップ(約 237 ml)のコーヒー4~5 杯分に相当します。
個人により、様々な異なる効果や反応をもたらすため、状態によって摂取量を見極めることが大切になります。
最近流行しているエナジードリンクですが、カフェインの含有量は様々です。エナジードリンクとして定義されているものの中でもカフェインが含まれていないものもありますし、一般的にコンビニなどで流通しているものは1缶100mg前後のものなどもあります。しかし、中には1缶で200mgを超える商品もあるため、上記の上限量を意識して摂取を考えたいところです。
以上、今回はカフェインの摂取についてご紹介しました。摂取量を意識して健康的に過ごしましょう。
NSCAジャパン2023年翻訳掲載分 Vol.30 No.1 p.57~67
原文 Strength & Conditioning Journal Vol44, No.2, 33-44
「身体パフォーマンスを強化するためのエビデンスに基づく栄養戦略」
NSCAジャパン2023年翻訳掲載分 ウェブジャーナル
原文 NSCA TSAC Report Issue59, 38-41
「タクティカルアスリートにおけるカフェインの使用」