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  • 野球選手の投球速度を向上させるためのトレーニング

    日本のプロ野球はクライマックスシリーズ、アメリカのメジャーリーグはプレーオフ真っただ中。また大学、高校でもそれぞれ秋のリーグ戦や大会が始まっており、今年の野球シーズンも佳境に入ってきています。
    野球に対するストレングス&コンディショニングも様々な情報が出ているかと思いますが、今回はNSCAジャパン機関誌より、野球選手の投球速度を向上させるために、投球練習以外のトレーニングについて模索した記事をご紹介いたします。

    投球速度とトレーニング

    野球選手は、成熟し筋力が向上するのに伴い、投球速度が向上する一方で腕の部分への負荷が高まり、ケガのリスクが高くなるといわれています。そのため、投球速度を向上させるためには筋力を向上させつつ、安全で効率的な投球動作を維持する必要があります。
    そこでトレーニングでは投球パフォーマンスを向上させるために様々な方法を用いるわけですが、ここでは大きく2つの方法が取り上げられています。ひとつは野球に特異的でないトレーニング、もうひとつは野球に特異的なトレーニングです。

    野球に非特異的なトレーニング

    これにあてはまるトレーニング法が、レジスタンストレーニングやプライオメトリックスなどです。これらのトレーニングでは、筋力およびパワーとともに、タイミングよく体幹部を捻る動作を実施できる筋の筋量を増加させるなどにより、パフォーマンスを向上させることができるとされています。
    またメディスンボールを用いた速度にフォーカスしたトレーニングや、チューブやプーリーなどの比較的軽い負荷を用いるトレーニングにより投球速度を向上させることが示されています。

    また、ここで参考としている研究では、少年、高校、大学、プロレベルの各選手が対象となっています。このように年代別でみてみると、少年野球選手には、軽い負荷を用いたトレーニングにより正しい動作テクニックを習得させつつ、同時に投球速度を向上させることができるとされています。
    一方で大学やプロレベルの選手においては、高負荷および低負荷のトレーニング両方とも投球速度を向上させることができるとされています。

    野球に特異的なトレーニング

    野球に特異的なトレーニングとは、野球のボール(通常5オンス:約140g)以上の高重量のボールと、5オンス未満の低重量のボールを投げることで、腕部の筋力や速度を向上させるものです。

    高重量のボールをトレーニングで用いる場合、特異性の高いボールのほうが特異性の低いボールより効果的とみられています。これは標準的な重さのボールに近い投球動作を維持できるためではないかと考えられています。
    一方、低重量のボールは、特異性の高低に関係なく投球速度の向上に寄与することが示されています。これはボールが軽いゆえに、速度に過負荷を与えることができるためと考えられています。
    そして野球選手に対しこのような異なる重量のボールを用いる場合には、なによりトレーニングを通じて投球動作を維持させることが重要だとされています。

    まとめ

    野球において投球速度を向上させるためのトレーニングには、今回紹介されているものだけでなく様々なトレーニング、アプローチがあります。
    そのなかでも、研究に裏づけられたレジスタンストレーニングやプライオメトリックス、また異なる重量のボールを用いたトレーニングなどを取り入れてみてはいかがでしょうか。

    参考文献

    NSCAジャパン2023年翻訳掲載分 Vol.30 No.9 p.24~31
    原文Strength & Conditioning Journal Vol44, No.4, 1-9

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