
こんにちは!NSCAジャパン事務局の試験担当スタッフです。今回は、NSCA資格認定試験の受験を考えられている方へ、ご自身のトレーニングを通じたおすすめの受験準備方法をご紹介します。
以前「NSCA認定資格制度をご紹介!」にてお伝えしたとおり、試験問題はNSCA本部が定める職務分析委員会の分析に基づいて、専門職に必要な科学的基礎知識から実践応用にわたる包括的な知識を網羅するように作成されています。 そのため、試験問題には、実際に指導現場で発生しうる状況を想定した「シナリオ問題」が必ず出題されます。
単に知識を暗記しているかどうかではなく、「その状況において、どの対応が最も適切であるか」を判断する力が求められます。また、その中には画像や動画を確認して解答する問題も含まれます。
・CSCS(実践/応用セクション): 30〜40問
・NSCA-CPT: 25〜35問
例えば、クライアントがスクワットでフォームエラーを示した場合を考えてみましょう。
フォームエラーが生じる原因はひとつではありません。可動域不足、筋力不足、技術的な問題、疲労、不安感など、さまざまな要因が考えられます。そのため、指導者には状況を観察し、適切な対応を選択する能力が求められます。
もちろん、こうした判断の基礎となるのは、エッセンシャルや問題集などを通じて学ぶ科学的知識です。しかし、自身でトレーニングをしていると、フォームが崩れる場面や重量増加に伴う課題などを実際に経験するため、学んだ知識を具体的な場面と結び付けて理解しやすくなります。
では、例として「パーソナルトレーニングでクライアントにバックスクワットを指導するケース」を想定してご説明いたします。
<クライアントの情報>
40代男性。治療中の疾患や既往歴は特にない。クライアントは最近、日常生活で体力の低下を感じることが増えてきたため、パーソナルトレーニングを通じて体力を向上させ、休日もスポーツを楽しむなど、より活動的な生活を送りたいと考えている。
パーソナルトレーナーは、トレーニングプログラムにバックスクワットを組み込み、クライアントに実施してもらったところ、以下のような状態になった。

これは、主にエクササイズテクニックに関連するシナリオとなります。
実際の試験では、クライアント情報と画像のようなシナリオに続いて「パーソナルトレーナーが次に取るべき最も適切な行動はどれか」といった問いと、3つの選択肢が提示されます。そのうち最も適切な選択肢を1つ選んで解答します。
みなさんはこのバックスクワットを見て、どう思いますか?
画像1では、目線が下になり、体幹が前方に倒れて肘も下がってしまっています。このままバックスクワットを続けると、クライアントがケガをしてしまう可能性がありそうです。
実際の指導では、
「目線を正面に向けて、胸を張ってみましょう」
「肘を後ろに引いてみましょう」
などのキューイングを行い、クライアントのフォームに改善がみられるかどうかを確認します。

もし改善がみられず、適切なフォームでバックスクワットを実施できない場合は、他のエクササイズに切り替え、安全にトレーニングを実施できるようにプログラムを変更することも必要になります。
例えば、これまでに実施したことのないダンベルやバーベルを使用するエクササイズにチャレンジする場合、まずは器具を使わず、自体重で適切なフォームで実施できるかを確認することが多いと思います。 しかし、自体重で問題なくできたため、器具を使ってみたところ、適切なフォームで実施することが難しかったというケースを経験されたこともあるのではないでしょうか。

自体重で問題なくスクワットが実施できれば、バーベルを使ってバックスクワットもできるように感じますが、肩甲骨の柔軟性や背部の筋力が不足していると、安定した動作を行うことが難しくなる場合があります。
他にも、そもそもバーベルを使ったレジスタンストレーニングの経験が少ない場合、バーベルが床に落ちてしまうのではないか?という不安から、目線が下がってしまったり、背中が丸まってしまったりすることがあります。
また、初めは軽めの重量で問題なくバックスクワットが実施できていた場合でも、だんだん重量が上がってくることで、体幹が前方へ倒れてしまう、膝が内側に入ってしまうといったエラーテクニックが発生することもあります。


ご自身のトレーニングを通じてこうしたエラーを経験すると、意識の向け方やキューイングによってフォームを改善できるのか、またはセット間の休息時間や重量設定の見直しが必要なのかといった、さまざまな対応方法についての理解を深めることができます。
解答の選択肢の中には、自分が思いついた答えが入っていないこと、または選択肢が1つに絞れないことも想定されます。そのような場合に、ご自身のトレーニング経験はシナリオ問題において「どの対応が最も適切か」を考える際の助けになります。
もちろん、試験では科学的根拠に基づいた判断が求められます。しかし、ご自身のトレーニング経験があると、エッセンシャルや問題集を通じて身につけた基礎知識を実際の状況と結び付けて考えやすくなり、シナリオ問題への対応力向上につながります。
ここまで、トレーニング経験がシナリオ問題への対応力向上につながることをご紹介しました。しかし、トレーニングを実践する価値は受験対策だけではありません。
実際の指導現場では、指導者がお手本を見せる場面もありますが、クライアントやアスリートがフォームエラーを示した際に、その原因を観察し、適切な対応を選択することが求められます。ご自身がトレーニングを通じて経験した成功や失敗は、こうした場面での判断材料となります。
また、指導者自身がエクササイズを実践した経験があることで、フォームのポイントや注意点をより具体的に伝えやすくなります。クライアントが感じる不安や難しさを理解しやすくなることも、指導を行う上で大きな強みとなるでしょう。
もちろん、トレーニング経験だけで適切な指導ができるわけではありません。エッセンシャルや問題集を通じて学んだ科学的知識と、ご自身の実践経験の両方を積み重ねることで、より良い指導につながっていきます。
今回の内容を通じて、トレーニングを実施することが受験対策につながることを、ご理解いただければ幸いです。
ぜひ積極的にトレーニングに取り組み、シナリオ問題を攻略してみてください!
CSCS
『ストレングストレーニング&コンディショニング 第4版』
・第15章 フリーウェイトおよびマシーントレーニングのためのエクササイズテクニック
(バックスクワット:418~419ページ)
NSCA-CPT
『パーソナルトレーナーのための基礎知識 第3版』
・第13章 レジスタンスエクササイズテクニック
(バックスクワット:379~380ページ)