• S&Cジャーナル
  • 今月のS&Cジャーナル5月号「アスリートの内科疾患とコンディショニング」ほかフリー記事2本

    NSCAジャパン機関誌
    『Strength and Conditioning Journal Japan』
    2025年5月号発刊

    NSCAジャパン機関誌『Strength and Conditioning Journal Japan』2025年5月号を発刊しました。NSCAジャパン会員のみ読むことができる機関誌ですが、毎号数本はどなたでも読めるフリー記事をご用意しています。

    ●5月号のフリー記事
    ・アスリートの内科疾患とコンディショニング
    ・複合ストレングストレーニングが若年バスケットボール選手の垂直跳びパフォーマンスにもたらす効果:システマティックレビューとメタアナリシス

    今回はその中から、「アスリートの内科疾患とコンディショニング」をご紹介します。 

    アスリートを支える内科疾患に関するコンディショニング

    内科疾患について、コンディショニングという観点でみてみると、新型コロナウイルス感染症(COVID- 19)をきっかけとした感染症と、ウェアラブルデバイスの発達により評価が可能となった睡眠障害を、より扱うことが多くなったとのことです。

    感染症は、体力や免疫力が低下している時ほどリスクが高まります。なぜ感染症対策が必要かというと、感染症(特に急性期)は、発熱、食欲低下、肝機能低下、内分泌異常など、医学的な合併症が生じ、そのようなコンディションでスポーツを実施すると外傷や障害が起きやすくなるなど、アスリートのパフォーマスを低下させる可能性があるからです。

    ただその一方で、対策を図れば、予防やリスクを軽減させることが可能となるからでもあります。特にCOVID-19を機に、選手やスタッフの間でも予防意識が広がっているとのことです。手洗い・消毒・マスク着用といった基本的な対策に加え、ワクチン接種の検討や、遠征先での感染症リスクの事前確認も今や欠かせません。また集団免疫閾値という概念が役に立っているとのことです。これはある集団で感染症が広がらないために、どれくらいの割合の人が抗体をもてばよいのかを示すもので、集団感染を防ぐために、その集団内でより多くの人が抗体を有している必要があることを意味します。


    さらに、感染症の予防や回復には「睡眠の質」も重要です。アスリートは、精神的、身体的ストレスが多く、夜の時間帯に試合が実施されることもあります。また、競技レベルの向上により、国際大会への出場、海外渡航が多くなったことで、時差による睡眠障害もよく遭遇することが示されています。現在ではウェアラブルデバイスを活用し、睡眠の状態をモニタリングできる環境が整ってきているとのことです。

    ただし、完璧な睡眠の測定基準に対する不安が高じて、逆に不眠症が誘発される状態、オルソソムニアには注意する必要があり、正確な判断と適切なフィードバックのためには、専門スタッフがデータを読み解く力が欠かせないとされています。

    記事では症例についても紹介されていますが、様々なデータが取得できる反面、それらの数値に踊らされることなく、どう現場のスタッフが落とし込んでいくのかが課題であると指摘されており、このことがアスリートの持続的な活躍を支えていく鍵となるのではないでしょうか。 

    ●フリー記事1:
    アスリートの内科疾患とコンディショニング

    ●フリー記事2:
    複合ストレングストレーニングが若年バスケットボール選手の垂直跳びパフォーマンスにもたらす効果:システマティックレビューとメタアナリシス

    その他、5月号には以下の記事を掲載しています。

    ・プロサッカー選手における試合中の高強度活動を反映するフィールドテスト
    ・スクワットで深くしゃがむことができない選手に対するパラレルアイソメトリックベルトスクワットを用いたアプローチ
    ・持久系競技における呼吸筋トレーニングの現場への応用
    ・女子サッカー選手の試合における身体的要求のプロフィール:システマティックレビュー
    ・新型コロナウイルス感染症に伴うロックダウン中のバスケットボール選手における競技に向けた準備:国際的なストレングス&コンディショニングの観点から
    ・フライホイールエキセントリックトレーニング:効果的な伸張性過負荷を生む方法 

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