NSCAジャパン機関誌『Strength and Conditioning Journal Japan』2024年8-9月号を発刊しました。NSCAジャパン会員のみ読むことができる機関誌ですが、毎号数本はどなたでも読めるフリー記事をご用意しています。
●8-9月号のフリー記事・ストレングス&コンディショニングにおけるスポーツ関連脳振盪の予防戦略
・エリートレベルの柔道選手における筋力の役割と発達
・極真空手選手のためのストレングス&コンディショニングに関する考察
今回はその中から、「エリートレベルの柔道選手における筋力の役割と発達」をご紹介します。
柔道では、対戦相手との組手争い、高い技術を要する投技、および相手の動きを制する寝技など、多様な身体活動を行なう必要があります。これらのパフォーマンスにおけるその最も重要な成功因子のひとつとして、一流の柔道のコーチは、神経筋系の能力を挙げています。これは筋力の高い選手は、技術的に同等の能力をもつ選手よりも有利であることに起因しています。
例えば、上半身の筋力が高い選手は、対戦相手の動きを制する能力が高く、効果的に技をかけることができるため、試合に勝利する可能性が高いわけです。このように、筋力は柔道のパフォーマンスに重要な役割を果たし、ランキングの見分けに利用できる可能性があると考えられています。ただこの筋力にも様々なタイプがあります。
そこで記事本文では、最大等尺性(筋長が変化しない)筋力、動的な(筋長が伸張または短縮する)最大筋力、爆発的筋力(きわめて短時間で発揮される力)、そして筋持久力(より長い時間、筋機能を維持する能力)が、エリートレベルの柔道のパフォーマンスに果たす役割について、参考文献を基に紹介されています。
例えば動的な最大筋力について、レベルの高い選手は、上半身の押す動作や引く動作、あるいは肩関節外旋の筋力が高いことが示されています。また投技においては、動作は下半身から開始され、発揮された力は体幹部を通って腕に伝えられ、動作が遂行されるため、下半身の動的最大筋力が重要であるとされています。
実際のトレーニングでは、これらの動作を鍛えるためのエクササイズを実施することわけですが、ただ柔道では一般的にはとらない多様な姿勢から力発揮することが想定されるため、ジェファーソンスクワットなど、柔道に特化したエクササイズも提案されています。
このほかにも、他の筋力タイプそれぞれの役割についての解説や、おすすめのエクササイズ例も載っていますので、ご興味ある方は、ぜひ本文を読んでみてください。
●フリー記事1:ストレングス&コンディショニングにおけるスポーツ関連脳振盪の予防戦略
●フリー記事2: エリートレベルの柔道選手における筋力の役割と発達
●フリー記事3:極真空手選手のためのストレングス&コンディショニングに関する考察
その他、8-9月号には以下の記事を掲載しています。
・低身長クラスのパラバドミントン選手への6 ヵ月間のストレングストレーニング介入が筋力および跳躍パフォーマンスに与える影響
・スポーツ科学者を定義する
・柔道特異的なテスト:体力評価への提言を含むナラティブレビュー
・反復スプリント能力と有酸素性能力の相関関係(低~中程度):システマティックレビューとメタアナリシス
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