
近年、総合格闘技(MMA)は世界中で爆発的な人気を博しています。今回は、NSCAジャパン S&Cジャーナル掲載の「格闘技のためのウォームアップ、ストレッチング、およびクールダウン戦略」の中から、パフォーマンス向上と怪我予防に直結するコンディショニング術を解説します。
格闘技のトレーニング強度の高さを考えると、事前の準備は特に重要です。 ウォームアップにより、以下の効果が期待できます。
・準備レベルの向上: 筋パフォーマンスに必要な身体的・精神的なスイッチを入れます。
・怪我の予防: 組織の温度が上がることで筋や腱の順応性が高まり、受傷リスクを低減します。
・動作の効率化: 神経伝達速度の上昇や酸素運搬の促進が期待できます。
【実践のポイント】
時間は最低10分間。強度は「汗をかき始めたら十分」をサインに、徐々に高めていくのがコツです。
ウォームアップは以下の2種類に分けられます。
ランニングなどで体温・心拍数を上げます。

実際の格闘動作に近い動きで、主要な筋群を動員します(詳細は本文参照)。

格闘技には広い可動域が求められますが、ストレッチの種類を使い分ける必要があります。
これから行う動作を模倣する動きは、体温を上げ、神経系を刺激してパフォーマンスを高めます。
じっくり伸ばすタイプは、練習直前に行うと筋力やスピード、バランス能力を低下させることが明らかになっています。練習後や、独立した柔軟性トレーニングとして行いましょう。
激しい練習の後は、5〜10分かけて身体をゆっくりと「アイドリング」状態へ移行させましょう。
急に動きを止めると血液が手足に溜まり(静脈血の貯留)、回復が遅れる原因になります。軽く動き続けることで血液の循環を促し、翌日の筋肉痛や体の硬直を最小限に抑えます。
心拍数や血圧を安全に平常時へ戻し、スムーズに「休憩モード」へ切り替えることで、次の練習への備えが始まります。

大好きな格闘技を、最高のパフォーマンスで、一日でも長く続けるために。「準備」と「回復」に心血を注ぐことは、技を磨くことと同じくらい価値があります。怪我で足を止めることなく、賢く、科学的に実践し充実した格闘技ライフを送りましょう。
Pablo B. Costa, et al. “格闘技のためのウォームアップ、ストレッチング、およびクールダウン戦略” (NSCA JAPAN May2014,Volume 21, Number 4)
